家具職人になるには見習いとして働くのが近道です。 しかし、毎月のいくらもらえるのか、どんな仕事をするのか気になりますよね。
この記事では家具職人見習いの給料は仕事内容など就職前の気になるところを解説していきます。
私は17歳で木工所に就職し、まぁまぁのブラックな会社だったので店舗設計施工会社の工場勤務へ転職して、今では28年目になります。
知識0で木工所へ入社した私が経験してきた「家具職人見習い」についてもお伝えしていきます。
この記事を読めば、家具職人見習いのことがすべてわかると思いますので是非ご覧ください。
家具職人見習いの給料
家具職人見習いは月給15万円~20万円くらいです。 小さい工房などの場合は10万円前後の場合もあります。
見習い期間でも給料は徐々に上がっていきます。
私が17歳の時の初任給は月収96,000円でした。時給600円です。
今だと最低賃金を下回るので時給600円はないとは思いますが、安いことは間違いないです。
時給が安いだけではなく、仕事が少ない時は「明日は仕事がないから休んでいいよ」とか言われることもありました。
それと、結婚した時に日給が1,000円上がりました(4,800円が5,800円に)。つまりは小さい木工所などでの給料は経営者の判断次第で決まることがほとんどです。
見習いのその先である家具職人の給料については別記事で紹介しています。
家具職人で年収は安い?平均年収や初任給と女性平均を紹介!
日給月給での受取り
給料の受取りは日給月給で毎月決まった日に受け取る感じです。支給日は会社によって変わります。
出勤時と退社時にタイムカード押して、時給計算されて月毎の受取りが多いです。小さい工場などタイムカードがない場合は、日報や月報を自分で書く場合もあります。
家具職人見習いの求人募集での給料例
ネットでの求人広告を見ると以下のような金額で募集がありました。
- 箱物家具職人 月給19万670円~
- 家具リペア 年収240万円~
- 家具製作 日給7,500円
- 家具製作 日給8,000円
- 家具製作 月160,000〜
- オーダーメイド家具製作 月給203,438円〜
- オーダーメイド家具製作 月給170,000円〜
未経験でもOKと書いていますが、正社員時の給料を明記しているので見習い期間はもっと給料が安い可能性があります。※経験・能力を考慮し決定しますと明記していることが多いです。
それと試用期間を3〜6ヶ月間設けている会社が多いです。試用期間でどれくらい仕事ができるのか判断されるのと、期間中は給料設定が安いことがあります。
家具職人見習いにはどうやってなるのか
見習いの募集探しはハローワークや求人アプリで探すか、木工所に直接問い合わせる、転職エージェントを利用するという方法があります。
- ハローワークでの求人
- 求人アプリなどで検索
- 近くの木工所や工房に問い合わせる
- 転職エージェントを利用する
今住んでいる場所から近い木工所などで探したい場合は、地図アプリで「近くの木工所」や「近くの木工房」などで検索すると見つかります。
個人を対象としていない会社がほとんどなのであまり情報は掲載されていませんが、ある程度は絞れるはずです。
電話をする前にどんな工場なのか、近くまで見に行ってみると良いでしょう。また、夜行ってみて作業しているようならその木工所は残業が多いのかもしれません。
転職エージェントを利用すれば、「経験や希望に合わせた求人の紹介」や今までのキャリアを整理して、経験や強みを生かし、応募書類や面接へのアドバイスを受けることができます。給料面の要望もお願いできるので見習い期間の低賃金の回避にも有効でしょう。
家具職人見習いの期間
家具職人の見習い期間は3〜5年と言われています。
家具製作にはたくさんの工程があり、工程全てを覚えるにはかなりの時間がかかります。
ある程度ひとりでできるようになるために3〜5年かかます。 流れ作業で作業が進む工場などでは、途中のNCルーターなど大型機械での加工は担当者以外はしないことがほとんどです。
なので担当にならないと覚えられない工程もあります。
面接とかある?
- 面接はあるけど緊張するほどではない
どの方法で就職するにしても面接はあります。
しかし、家族経営の工場などでは簡単な面接だけの場合がほとんどです。 長く運営している木工所などは採用も慣れているので、試用期間で正式に雇うか判断することが多いです。
なので、面接は簡単なものなのだと思います。
家具職人見習いには何歳でもなれる?
- 何歳でもなれるけど早いに越したことはない
家具職人には何歳からでもなれます。しかし、自分より若い人に教えてもらうことになるので、時には若い人に怒られたりすることもあるでしょう。
なので、年齢があがるほど見習い期間に忍耐力が必要になります。
家具職人は何歳まで続けることができる?
- 会社員だと定年がある
- 個人ですれば何歳でもできる
- 実際80歳の職人がバリバリ働いていたりする
会社員であれば務める木工所のルールに従うことになりますが、65〜70歳までの会社が多いでしょう。個人経営の場合は、やる気があれば何歳まででも働けることもあります。
自分の工房を持てばやめ時は自分で決めることができます。
私の知り合いの職人は80歳の今でも現役の職人としてバリバリ働いています。好きなことを仕事にしている感じなので、歳をとってもものづくりをやめられないみたいです。
家具職人は普通の会社員と比べても長く働くことができる職種だと思います。
家具製作の職場はどんなところ?
- 主には工場での勤務
- マスクをしての作業
- 木工機械や集塵機の音はうるさい
- 塗装場があると匂いもする
- NCなど大型機械を使うのであればPC室などでCAD・CAMして工場でNC加工
家具職人見習いは家具工場で作業をします。工場の入り口は1年中開けっ放しな感じなので、夏暑く冬寒いです。 入り口を開けっ放しの理由としては、工場内の換気をするためです。
木材や合板を切って家具を作っていくので結構粉塵が多いです。集塵機を使っていても「横切り」などでカットしていると粉塵がまいます。
それと、塗装場も併設しているのであれば、塗料やシンナーなどの匂いが強いので換気が必要なんです。 粉塵が多いのでマスクを着用しながら仕事をすることになります。
CAD図を作成してNCルーターなどで加工していく場合は、事務所やPC室での作業もあります。
家具職人見習いの服装
- 主に作業着
- トレーナーなどでもOK
- 袖が機械に巻き込まれないような服装がよい
服装は作業着が基本ですが会社で決まっていない場合は、機械に巻き込まれない服であれば問題ないです。袖口がひらひらしている服は機械に巻き込まれる恐れがあるので危ないです。
私の作業時の服装は夏はTシャツ・ジーパン、冬はトレーナー・暖パンです。ユニクロで買うことが多いです。仕上げ材などを運ぶことも多いので、金具が少ない服がおすすめ。靴は運動靴です。
時計はしてても問題ありません。
家具職人見習いの仕事内容
見習いとはいえ仕事はたくさんあります。工場や機械の掃除や職人の補助、箱物家具の場合は、現場へ行き家具の運搬や取り付けの補助などもします。
フラッシュで家具を作るのであれば、芯材をはしごみたいに組んでのり貼りしてプレスで押さえたりします。
手道具の使い方や機械の使い方など、覚えることだらけなので結構忙しいです。
仕事中は忙しいので自分のための修行時間はないです。
昼休みなど職人が休んでいる間に、ノミやカンナの刃を研ぐ練習をしたりしてました。 砥石にノミの刃を食い込ませて傷つけて。職人に怒られたりしてましたね。
仕事の難易度はどれくらい?
家具製作の難易度は作りたい家具によって変わります。椅子やテーブルなどを作る脚物家具(あしものかぐ)であれば木と木をつなぐ技術である仕口(しぐち)の加工などは難易度が高いです。
しかし、加工方法を覚えるまでは難しいですが、見習いは簡単なことから順番に覚えていくので急に難しい加工はできないですが、簡単なことからやっていけば必ずできるようになります。
初めて自転車に乗る時は乗るのが難しいですが、乗れるようになればそんなに難しくないですよね?家具製作も自転車に乗れるようになるのと同じ感じです。
見習いの1日の仕事内容
私が見習い1年目の箱物家具を製作する1日を紹介します。もちろん自分で作るわけではなく家具職人の補助としての1日です。
- 7:45 出勤
師匠的な職人と一緒に手工具や木工機械の手入れや作業の準備をします。 - 8:00~ 職人に今日の作業確認
午前の作業開始。作業内容はフラッシュ家具の下地のはしごを組みます。横切りで下地材の長さをカットします。でかいホッチキスみたいなのをエア工具で打ち込んではしごを組んでいきます。 - 10:00~10:10 午前の休憩
缶コーヒー飲んで職人と雑談したりします。 - 10:10~ 木工機械での加工
パネルソー、ランニングソーなどではしごに貼り付けるポリ合板のサイズをカットして、のり貼り作業。木工用ボンドをのりバケではしごにのばしてポリ合板をはしごの両面に貼って、プレスにかけます。 - 12:00 お昼休み
お昼ご飯を食べて、自分の車で昼寝したり、職人や見習いと雑談などします。 - 13:00~ 午後の作業開始
職人が加工した引き出しのパーツにダボのこまを打ち込みます。1年目はまだ引き出しの組み立てなどはさせてもらえませんでした。 - 15:00~15:10 午後の休憩
缶コーヒー飲みます。 - 15:10~ ふたたび作業開始
職人の指示を受けて、フラッシュ合板をパネルソーで正寸にカット。見える部分の見付けに化粧テープを職人が貼る準備をします。速乾ボンドを使います。 - 17:15 作業終了
今日1日の作業内容をまとめます。 - 17:30 工場内清掃
手工具や木工機械の手入れや作業場の清掃をして帰宅。
という感じの毎日です。作業内容はこのほかにもいろいろありますが、主には職人の作業を補助することが多いです。
なれてくると、職人がしている仕事の簡単な部分から少しずつ作業させてもらえるようになります。
持っておきたい資格
家具職人見習いになるのに持っておきたい資格はこんな感じです。
・普通自動車運転免許(AT限定可)
自動車免許があれば通勤や家具の配達などで役立ちます。
家具工場が家の近くやバスや電車が都合よくあれば必要ないかもしれないですが、家具工場は敷地面積がかなり必要なので土地代が安い郊外にあることが多いです。
家具配達を視野に入れるとAT車限定よりもマニュアル車にも乗れたほうが重宝されます。
取ると昇級しやすい資格
家具職人の就職・転職に有利な国家資格は以下の通りです。
家具職人の国家資格一覧
- 家具製作技能士
- 機械木工技能士
- 木材加工用機械作業主任者
家具職人の就職・転職に有利な民間資格
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
- CAD利用技術者試験 2DCAD・3DCAD
家具職人の資格については別記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
家具職人におすすめの資格7選!就職・転職を有利にする
家具職人見習いの気になること
家具職人を目指す見習いとして気になる事をまとめました。
見習いの仕事はつらい?
家具職人見習いのつらい部分は4つあるかなと思います。
- やりたい作業ができない
- 自分の時間も修行をする
- 職人に怒られることもある
- 給料が安い
見習いの期間は、職人の技術を見て同じことをやってみたくても、仕事中にはさせてもらえないです。自分の腕を磨くのには時間がかかります。休日を利用して試してみることが多いですね。
職人は癖が強い人が多いです。短気な人も結構います。職人が言ったことを守っていない時など怒られることもあります。
職人より先に横切り使おうとして怒られたこともあります。ある種の縦社会ですね。
見習い期間は給料が安いので贅沢なことはできません。お金のために家具職人になりたい人は少ないと思いますが、見習い期間のつらい部分でもあります。
つらい部分もありますが、家具製作の基礎を学ぶことが楽しいと思える人であれば問題なく乗り越えていけるでしょう。
家具製作の作業は安全?
- 完全に安全とは言えないけど注意すれば大丈夫
家具を作るには刃物を多用しますので完全に安全とはいえません。
でも注意して作業すればそれほど怖がることはないです。逆に仕事になれてきた時が注意心が低くなるので一番危ないです。
木工所などでいじめなどない?
- 大きくなるほどあるかも
私が勤めていた会社では「いじめ」はありませんでした。
人が増えるほど派閥があったりするでしょうから大きな工場だとあるかもしれません。
意見が合わない職人同士のケンカは見かけることがありました。「自分が先に使う」みたいな機械の奪い合いがたまにあるんですよね。
まとめ
家具職人見習いの給料や気になることについてまとめました。
見習いの間は給料は安いし、つらいこともあります。しかし、家具職人は達成感がありますし、長くやっていける仕事です。
この記事が将来の参考になればと思います。なお、このほかの家具職人へ未経験でなる方法については別記事で詳しく紹介していますのでこちらも合わせてお読みください。
家具職人への転職は未経験でもできる?転職のポイントや方法を解説