家具職人に職業訓練でなる!メリット・デメリット・国の支援について

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家具職人になる方法は複数ありますが、職業訓練校に通って技術と知識を身につけるのも良い方法です。

しかも、無職の場合や失業中など、定職についていない場合は国の支援を受けることもできます。

この記事では家具職人に職業訓練でなるメリットとデメリット、国の支援について詳しく紹介します。

私は17歳から木工所に就職し現在28年目の家具職人です。一度転職して今は店舗制作会社の工場で働いています。今までの知見も合わせてお伝えしていきます。

この記事を読めば家具職人に職業訓練でなるメリット・デメリット、国の支援について分かりますのでぜひご覧ください。

目次

職業訓練のメリット

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家具職人に職業訓練でなるメリットはこんな感じです。

  • 無料で家具製作の基礎が学べる
  • 家具製作の技術が学べる
  • 家具製作関係の資格が習得できる
  • 仲間ができる
  • 給付金(失業手当、職業訓練受講手当)を受けられる
  • 就職先を斡旋してもらえる

順番に説明していきます。

無料で家具製作の基礎が学べる

職業訓練の木工科などでは、家具製作に必要な知識が無料で学べます(教科書代などはかかります)。

家具製作の加工順序や安全な作業の仕方、道具の手入れの方法など。

職業訓練の家具製作で学べる内容

職業訓練では概ね以下の内容が学べます。(学校によって違いがあります)

  • 手道具での加工方法
  • 機械での加工方法
  • NC工作機械の操作
  • 材料の種類
  • 家具デザイン
  • 図面の書き方
  • 生産管理

家具製作に関係ある内容のほとんどを学ぶことができます。

家具製作関係の資格が習得できる

職業訓練では家具製作に関する資格が取得できます。取得できる資格の種類は学校によって変わります。

職業訓練で取得できる資格の一例

  • 家具手加工作業技能検定2級
  • 木材加工用機械作業主任者
  • 職業訓練指導員
  • インテリアコーディネーター
  • キッチンスペシャリスト

仲間ができる

授業は1クラス10人〜30人程度で受けることになります。

同じ家具職人という目標に向かって進むことで普通の学校よりも仲間意識が高いです。

就職後でも相談したり、同じ会社に勤めたりすることもあるので、長く付き合える仲間に出会えます。

給付金(失業手当、職業訓練受講給付金)を受けられる

失業手当や雇用保険に加入していなかった場合などは訓練受講給付金をもらいながら訓練に通うことができます。

失業手当(失業保険)

失業手当は離職者訓練を受ける人を対象に、離職前の給与の50%〜80%程度が基本手当として支給される手当です。正式名は「雇用保険の基本手当」で「失業手当」とか「失業保険」ということが多いです。

なお、職業訓練を受けると失業手当の受給期間が訓練期間の終了まで延長されるので、合計でもらえる失業手当が増えます。

職業訓練受講給付金

職業訓練受講給付金は訓練受講手当、通所手当、寄宿手当の3つに分かれています。

訓練受講手当月10万円 職業訓練を受講している期間に、1か月ごとに支給されます 。
(例:6か月の訓練の場合の支給額:10万円×6月=60万円)
通所手当月上限42,500円 訓練校へ通所する場合の定期乗車券などの金額が支給されます。
寄宿手当月10,700円 同居の配偶者、子および父母と別居して寄宿
(訓練施設に付属する宿泊施設やアパートなどに入居) する場合で、
通所のための往復所要時間が4時間以上など、
住居の変更が必要とハローワークが認める場合に支給されます 。

職業訓練受講給付金は、以下の要件を全て満たした場合に支給されます。自分が当てはまるか確認してみましょう。

給付金の支給要件

  • 本人収入が月8万円以下(シフト制で働く方などは月12万円以下 (※))
  • 世帯全体の収入が月40万円以下(※)
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 訓練の8割以上に出席する(※)(病気や仕事など以外の理由で訓練を欠席した場合、給付金は日割りで支給されます)
  • 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
  • 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない

※ 印は令和5年3月末までの特例措置になります。

また、給付金をもらっても足りない場合は「求職者支援資金融資」で低い金利でお金を借りることもできます。

詳しくは厚生労働省の求職者支援制度のご案内で確認できます。

就職先を紹介してもらえる

ハローワークで紹介してくれる職業訓練校は、ほとんどの場合「無料職業紹介所」として厚生労働省に認可されています。

家具関係の訓練校へ行けば、木工所や家具メーカーなど、家具職人として働くことができる会社を紹介してもらえるので、就職しやすいです。

余談ですが、職業訓練校は就職率が3割を割ると「訓練校」としての認定が受けられません。なので、就職先を積極的に紹介してくれます。それと、優秀な人材を企業に紹介すると、紹介した企業からさらに求人が増える可能性もあります。企業から職業訓練にくる求人の枠が増えれば、さらに就職率が上がり、「就職率の高い訓練学校」として宣伝もできるため、職業訓練校にとってもメリットが大きくなります。

職業訓練のデメリット

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職業訓練で家具職人になるには以下のデメリットがあります。

  • 選考に落ちる場合もある
  • 訓練校によっては年齢制限がある場合がある
  • 学歴に制限がある学校もある
  • クラスに馴染めないことがある
  • 失業手当(失業保険)をもらいながらの受講は選べるコースが制限される****
  • 失業期間が長くなる

詳しく解説していきます。

選考に落ちる場合もある

普通の専門学校と同じで、職業訓練には選考試験があります。

人気のコースは倍率も高いこともあり、必ず自分が希望するコースを受講できないこともあります。

それと、失業手当の延長給付や資格取得だけが目的と思われると、選考で落とされるかもしれません。

なので、コースの応募倍率が低く、定員割れしていたとしても、合格できるとは限らないんです。

訓練校によっては年齢や学歴に制限がある

受講したいコースによっては年齢制限がある場合があります。

訓練対象者の条件:18歳から34歳までの者
訓練対象者の条件:学校教育法による高等学校を卒業した方もしくは同等以上の学力を有すると認められる方

などです。年齢が対象外の場合や、学歴が低い場合は受講できないコースがあるのでコース選びの際に注意が必要です。

クラスに馴染めないことがある

職業訓練校には、年齢・学歴・職歴・スキルなど関係なく、色々な人が来ます。

思いがけない出会いや縁で仲間が増えることもありますが、コミュニケーションが苦手な人には向いていないかもしれません。

家具製作の受講人数はコースによって変わりますが10〜30人程度が多いです。

集団に馴染めない人にとっては精神的な負担となる場合もあるでしょう。

失業期間が長くなる

失業期間が長引いてしまうことが就職の際デメリットになることがあります。

家具関連の職業訓練は1年間〜2年間と長めの訓練が多いです。

それと、原則として途中で辞めることはできません。

さらに、職業訓練は実務経験とはならず、あくまで「仕事以外の自分磨きの場」と捉えられてしまいます。

つまり「失業期間が1年間〜2年間長くなる」ともいえます。

同じ家具業界に就職するとはいえ、失業期間が長い点を企業から不審に思われる可能性があります。

「無職期間が何ヶ月以上だとNG」という明確なルールはありませんが、無職期間は長ければ長いほど転職活動で不利になることを理解しておきましょう。

そもそも職業訓練とは

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職業訓練とは就職に役立つスキルが基本的に無料で習得できる訓練学校です。習得することで、就職できるようになったり、今の仕事に対してのスキルアップができる公的制度です。

正式名はハロートレーニング(公共職業訓練、求職者支援訓練)と呼ばれています。

職業訓練いは、家具製作だけではなく多種多様なコースがあります。

訓練期間の職員に就職相談もできて、就職が決まれば途中で辞めることもできます。

コースの期間は3〜6ヶ月・1部1〜2年のコースもある長い期間のコースは有料になる場合もあります。

職業訓練を受けられる人

基本的に職業訓練は誰でも受けることができます。

職業訓練を受けることができる人一覧画像

公共職業訓練

失業保険を受給している人が対象です。 職業訓練を受けることで、失業保険の給付を課程終了まで延長することができる「訓練延長給付」を受けることができます。 失業保険の残りの日数が少ない場合は、訓練延長給付が受けれないことがあるので注意が必要です。

求職者支援訓練

失業保険を受給していない人が対象です。

求職者支援制度は、月10万円の生活支援給付金をもらいながら、無料の職業訓練を受講する制度です。 国からお金をもらいながら再就職、転職、スキルアップを目指すことができます。 仕事を辞めたけど雇用保険を受給できない方、パートなど働いているけど、収入が一定額以下の方などが、給付金を受給しながら訓練を受講できます。

給付金の支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練を受講できます。(教科書代などはかかります)

職業訓練の利用方法

職業訓練の利用にはハローワークでの申し込みが必要です。

  • ハローワークの窓口で申し込み
  • 書類選考・筆記試験を受ける
  • 合格すると職業訓練を受講できる

職業訓練は、家具職人になりたいけど経験や技術がない人や、 入社してすぐに役立つ専門的・実践的スキルを身につけたい人、 失業中の人に向いている制度です。

訓練校を探すにはハローワークのインターネットサービスの検索が便利。
訓練検索・一覧
詳しい検索条件のフリーワードに家具と入力して検索すると探しやすいです。

家具職人の受講コースは

  • 木工家具科
  • 造形デザイン科
  • 木工科
  • 木材加工科
  • 木工工芸科
  • 木工技術科
  • 木材造形科
  • 家具工芸科
  • デザイン木工科
  • 木工芸デザイン科
  • 室内造形科

などがあります。

家具職人に職業訓練以外でなる方法もある

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職業訓練が向いていない方でも家具職人になる方法はあります。

  • 工房や木工所へ就職
  • 独学して自分の工房を持つ

家具職人になる方法は別記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。

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まとめ

家具職人に職業訓練を利用してなる時のメリット・デメリット、国の支援について紹介しました。

給付金をもらいながら家具製作の技術も学べるので、良い制度だと思います。

紹介した制度などの情報は古くなっている場合もあります。

利用する場合は、厚生労働省やハローワークで最新の情報を確認してください。

なお、家具職人への転職方法なども別記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。

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